パンがおいしい季節はいつだろうか

パンの豆知識

パンがおいしい季節はいつなのでしょうか。これは難しい問題です。
春も夏も秋も冬もパンを食べている人は――もちろんそういう人のほうが多いと思いますが、特に季節を気にせずおいしく食べていると思います。

したがって「パンがおいしい季節はいつなのか」と尋ねると、「じゃあ、パンがおいしくない季節があるのか」と聞き返されてしまうかもしれませんね。

それでもなお、この記事では、パンがおいしい季節を探してみました。
果たして正解は、春なのでしょうか、夏なのでしょうか、秋なのでしょうか、冬なのでしょうか。

パンがおいしい季節はいつ

結論:やっぱりどの季節でもパンはおいしい

このあとパンと季節の関係性について考察していくわけですが、先に結論を紹介するとこうなります。

●やっぱりどの季節でもパンはおいしい

当然といえば当然ですが、季節ごとの旬の味覚と一緒に食べたり、イベントに合わせてアレンジしたり、色んな食材との相性が良いパンは、いつ食べてもおいしいものです。 ここではパンと季節の関係性を知ることによって、よりパン生活を楽しんでいただけるような情報をお届けします。

やっぱりどの季節でもパンはおいしい

パンの季節といえばやっぱり春

春はピクニックやキャンプなど、アウトドア活動が本格的にスタートする季節です。
外に食べ物を持ち出すとき、パンはとても便利です。

パンはアクティブに動くときに向いている

パンはアクティブに動くときに向いています。
日帰り登山をするとき、リュックサックにあんぱんとサンドイッチを入れておけば、どこででもランチをとることができます。
友人たちと花見をするときも、大きなバゲットを2、3本持っていけば、つまみに用意したおかずをはさんで簡単にサンドイッチをつくることができます。
そして泊りがけでキャンプに行くなら、パンづくりに挑戦してみては。
ダッチオーブンがあれば、小麦粉やイースト菌などの材料を用意するだけで、たき火の炎でパンをつくることができます。

4月12日はパンの日

ちなみに、4月12日はパンの日。

4月12日のパンの日は、日本で初めて本格的にパン製造が始まった日です。
ときは1842年、江戸時代。江川太郎左衛門(または江川英龍)という軍学者が、軍事行動のときの保存食を開発することになりました。日本在住のオランダ人の料理人がいたので、江川はその人物にパン窯のつくり方を教わりパンをつくりました。
このパンはたちまち評判となり、江川は大規模な製パン所をつくりました。

夏は小麦の収穫の季節

日本の小麦の収穫は、主に6月〜8月です。つまり夏は小麦の季節です。

日本の小麦生産地としては、北海道が有名ですが、南は九州から北は北海道まで全国各地で栽培されています。
日本で栽培されている小麦の生産量トップ10は以下のとおりです(*)。

■日本で栽培されている小麦の生産量トップ10
1位:きたほなみ
2位:ゆめちから
3位:さとのそら
4位:春よ恋
5位:シロガネコムギ
6位:チクゴイズミ
7位:農林61号
8位:ミナミノカオリ
9位:イワイノダイチ
10位:あやひかり

品種にもよりますが、夏には、南から北へと桜前線のように小麦の収穫時期が日本列島を縦断していきます。各地で黄金色に輝く麦畑がみられるのは夏だけの風物詩です。

(*)特集1 麦(3):農林水産省

秋はパンと組み合わせると楽しいイベント目白押し

秋といえば、食欲の秋です。
この季節ならではのハロウィンやボジョレーヌーボーなどのイベントを楽しむ方も多いと思います、これら秋のイベントを盛り上げる存在なのが、秋の味覚とパンになります。

ハロウィンを彩るパン

毎年10月31日に行われる「ハロウィン」。
最近は日本でも仮装して楽しむ方も増えていますが、本場アメリカでは、仮装パレードやパーティーなど、子どもから大人まで楽しめるビッグイベントです。
歴史は古く、一説には古代ヨーロッパのケルト人が秋の収穫を祝い、冬の到来に備えるためのお祭りだったとか。オレンジ色のかぼちゃをくりぬき、顔をつけた「ジャック・オー・ランタン』を魔除けに飾ることでも有名ですよね。

ベーカリーなどでも、かぼちゃを使ったパンやジャック・オー・ランタンをモチーフにしたパンが並び、見るだけでワクワクしてきます。
またおうちでハロウィンパーティーを楽しむなら、かぼちゃのスープにパンを添えたり、かぼちゃのパングラタンにしたり、かぼちゃを使った料理やスイーツなど、パンが活躍するイベントの一つです。

ボジョレーをより楽しむためにはパンとチーズ

秋のもう一つのビッグイベントは、今や日本でもすっかり定着したボジョレーヌーボー。
「ボジョレーヌーボー」とは、ボジョレー地区でその年収穫されたブドウを使って造られた新酒のこと。そもそもの起源は、地元の人々がブドウの収穫を祝って楽しむためのワインで、その年のブドウの出来をチェックするために造られていたそうです。

そんなワイン味わうために欠かせない相棒はパンとチーズ。実はどれも発酵させた食べ物で、大変相性が良いと言われています。
解禁日の11月の第3木曜日には、バゲットとボジョレーヌーボーで、あなたも今年のブドウの味わいをチェックしてみませんか。

ソムリエが薦めるパンとワインの楽しみ方はこちらでもご紹介しています。

■フランスパンに恋をして パンとワインとマリアージュ

クリスマスがあるから冬こそパン

クリスマスがあるから冬こそパン

冬にパンが合わない、ということはありません。
合わないどころか、冬の一大イベントであるクリスマスは「パンが花咲くとき」といってもよいくらい、クリスマスならではのパンや菓子がたくさんあります。だからパンの季節といえます。

ドイツではシュトーレンというパンをクリスマスに食べます。ドイツの家庭では、クリスマス前の4週間の間に、少しずつスライスして食べながら、クリスマスを待つという習慣があります。

イタリアではパネトーネがクリスマスのパンです。ドイツ同様にクリスマス前に、食事として食べたり、おやつにしたり、いろいろいろなパネトーネを楽しむそうです。

シュトーレンもパネトーネも、バターをたっぷり入れた生地にドライフルーツを入れたパンです。

その他、イタリアではパンドーロ、フランスではパンデピスやコキーユ・デュ・ノール、イギリスではクリスマスプディングなど、その土地その土地で伝統的なクリスマスのパンやお菓子が楽しまれています。

まとめ~パンの可能性は無限大

まとめ~パンの可能性は無限大

パンと季節の関係を考えてみました。パンが、四季のどれにでも合うオールラウンダーな食べ物であることがわかりました。
パンと季節、という切り口でこれだけ深掘りできるのは、パンの種類が豊富だからです。パンはどのような食材や調味料でも受け止めることができるので、その種類をいくらでも増やしていくことができます。
パンの可能性は無限大ですね。