食パン、あんパン、焼きそばパンと、日本にはたくさんのパンがあります。パン天国といえるほど種類は豊富です。
しかしパンの発祥は外国なので、世界に目を向けると、おいしそうなパンがまだまだたくさんあります。
パンの種類と、パンの特徴を紹介します。
パンの知識が増えるとパンを食べるのがさらに楽しくなりますよね。
まずはおなじみの日本で独自に進化したパンを紹介します。
「メロンが入っていないのにメロンパン」といわれることがありますが、「それはともかくおいしい」と思わせる力が、このパンにはあります。
メロンパンが食べて楽しいのは2重構造だからでしょう。パンの上にのっている「メロン部分」のことを「ビスケット」といいます。
ビスケットはバター、クリーム、砂糖、卵などを使ってつくります。このとき、本物のメロンの果肉や果汁を加えると「メロンが入ったメロンパン」になります。
メロンパンの起源は諸説あって、次のとおりです。どれが真実なのかはまだ決着がついていないようです。
メロンパンの形にも種類があり、一般的には丸いドーム型ですが、関西ではメロンパンといえばラグビーボール型という地域もあるようです。
高級化ブームによって、日常的な食べ物から贈答品まで、幅広いシーンで使われるようになった食パンですが、なぜ「食」がつくのでしょうか。
これも諸説あって以下のとおりです。
このように諸説あるわけですが、食パンのなかにもさらに種類があります。それは角型食パンと山型食パンという2つの食パンです。
パンの起源は8,000~6,000年前の古代メソポタミアといわれていますが、この記事ではそこまでさかのぼらず、日本でも気軽に食べられるようになった欧米のパンを紹介します。
日本では、トウモロコシ(スイートコーン)の粒をパン生地に練り込んだものをコーンブレッドと呼ぶことがありますが、本場アメリカではトウモロコシの粉でつくったパンのことをコーンブレッドといいます。
日本では、小麦粉の代わりに米粉を使ってパンをつくることが広がってきましたが、まだトウモロコシの粉を使うことは一般的ではないと思います。パンに使われるトウモロコシの粉のことを、コーングリッツといいます。
コーンブレッドの特徴は、おだやかな甘みです。派手さがないことも、アメリカの国民食の1つになることができている理由かもしれません。
アメリカでは今でも感謝祭という記念日に、焼いた七面鳥とコーンブレッドを食べる風習があります。
フランス代表はクロワッサンでしょう。クロワッサンの意味は三日月で、その形が名前の由来になっていることは誰もがわかります。
クロワッサンを食べるときどうしても薄い膜になったパンくずが出てしまいますが、これは、生地を薄くのばしてつくっているからです。
クロワッサンづくりでは、生地にバターを折り込み、薄くのばして折り、また薄くのばして折り…を幾度となく繰り返していくので、クロワッサンは多層になっています。薄く重なっているため、食べるときに割れやすくなってしまいますが、同時に、クロワッサン特有のサクサク感が生まれる秘密でもあります。
クロワッサンがバターの香りが強いのは、バターをたっぷり使っているからです。
パンというより菓子ではないのか、と思わせるほど、グリッシーニはパンらしくない形をしています。
鉛筆を太くしたような外観をしているグリッシーニは、レストランでは4、5本をコップに差して提供されることが多いでしょう。その姿はやはりスティック菓子です。
しかしグリッシーニはれっきとしたイタリアのパンです。
カリカリした食感もパンっぽくないのですが、これはあまり発酵させずに焼くからです。
パンは普通は、ふっくらモチモチさせるために発酵させるのに、なぜグリッシーニは発酵を抑えてカリカリにしたのでしょうか。
昔のイタリアでのこと、ある王様が、胃腸の不具合で普通のパンを食べるのが苦手でした。そこで料理人たちが工夫して、消化しやすいパンであるグリッシーニをつくったとされています。
グリッシーニがパンっぽくないのは、パンっぽくないパンをつくろうとしたからなんですね。
グリッシーニはそのままスナック感覚で食べてもいいのですが、クリームチーズをぬったり、生ハムを巻いて食べたりしてもよいでしょう。
ミッシュブロート、ヴァイスブロート、セーレン、ローゼンヴェッケンと聞いて、「ドイツのパンですね」といえる人はかなりのパン好きですね。
ドイツには1,000種類以上のパンがあり、そのため「これがドイツを象徴するパン」というパンがありません。
ただ、重くて硬いというイメージは、ドイツのパンに共通しているのではないでしょうか。
種類が多くなり、重くて硬いパンが多くなったことは偶然ではありません。
ドイツでは昔からあまり小麦が穫れず、それでライ麦や大麦、カラス麦などをパンの原料にしていました。
小麦粉はパンを柔らかくふっくらさせることができますが、その他の麦にはそのような作用があまりありません。それでどうしても目が詰まった重くて硬いパンになってしまうわけです。
また、小麦だけでなくライ麦や大麦も使うので、組み合わせの数が増えるのでいろいろなパンをつくることができます。
それぞれの地方でオリジナルのパンができるので、パンの種類が増え、そして種類が多いので国を代表するようなメジャーなパンが生れなかったようです。
パンとご飯は共通点が多い食材です。どちらも穀物(麦と稲)からつくられ、熱を加えて加工して食べられ、主食になっています。
しかしパンとご飯には決定的な違いがあり、パン職人はいるが、ご飯職人はいない、という違いです。パンづくりを専門にする職人がいたから、競い合い、創意工夫が生まれたことで、パンの種類が増えた一因ともいえます。
パンづくりの奥深さと面白さは、日本人も「はまった」ほど。メロンパンだけでなく、あんパンや焼きそばパンなど、日本のパン職人たちが考案したパンは日本人のみならず、来日した外国人をも驚かせて楽しませています。