「もったいない」だけじゃない フードロスってどんな問題?

食と環境問題

「フードロス」とは、食べられる食品(フード)を捨ててしまう行為のことです。
お腹が減った勢いで買ったけど、食べきれず捨ててしまったら、それはフードロスです。
食品メーカーが商品をつくりすぎてしまい、消費期限がすぎて廃棄してしまったら、それもフードロスです。

このような問題を抱えているフードロスは、あなたも他人事ではなく、みんなで考えるべき課題なのです。

フードロスの4つの問題

フードロスが抱える4つの問題を1つずつ丁寧にみていきます。
これを知れば、「自分もフードロス対策に取り組まなければならない」と実感できるはず。
フードロス対策ではアクションが重要になるので、行動を起こす気持ちをつくっていきませんか。

フードロスの4つの問題

なぜフードロスはもったいないのか

「もったいない」はローマ字で「MOTTAINAI」と表記され、このまま海外の人たちに使われることがあります。日本人には比較的当たり前な感覚であった「もったいない」という考え方が、実はあまり海外では一般的ではなく、新たな考え方として認められ、そのまま海外でも使われるようになりました。
MOTTAINAIは、2004年にノーベル平和賞を受賞したケニア出身の環境保護活動家、ワンガリ・マータイさんが広めたとされています(*1)。マータイさんが来日したとき、もったいないの精神を知り「命の大切さや地球資源に対する尊敬の念が含まれている」と感じたそうです。

日本人は何気なく「もったいない」と言いますが、将来の食糧不安が懸念される世界にとっては大きな意味を持ちます。

*1:「MOTTAINAI(もったいない)」を合言葉に見直してみませんか、あなたの食生活。(1):農林水産省

フードロスは環境に悪影響を及ぼすのか?

フードロスは2重の意味で環境に悪影響を及ぼしています。

フードロスの1つ目の環境への悪影響は、大切な資源を不必要に消費してしまうことです。例えば1頭分の牛肉を捨ててしまったら、それは無駄に牛の命を奪ったことになります。牛を1頭育てるのに膨大な量の飼料とエネルギーが必要になり、それは環境への負荷となっています。食べない牛肉のためにそれだけの負荷を環境にかけてしまっているのです。

2つ目の環境への悪影響は、廃棄した食品をゴミとして処分しなければならないことです。ゴミになれば、壊れた自転車も食べられる食品も等しく処分されるため、この行為も環境に負荷をかけます。
そしてゴミを燃やせば二酸化炭素が発生し、地球の温暖化につながってしまいます。

フードロスは環境に悪影響を及ぼすのか?

なぜフードロスにはお金がかかるのか

フードロスを廃棄、処分するにはお金がかかります。
市町村がゴミ処理にかけているお金は年間2兆円以上になります(*2)。このお金は税金なので、フードロスが増えてゴミが増えればもっと税金が必要になります。

そもそもお金をかけて作った食品を、お金をかけて廃棄することは悪循環といえるでしょう。

*2:食品ロスの削減の推進に関する基本的な方針|消費者庁

なぜ人道的観点でもフードロスは良くないのか

発展途上国のなかには、今でも人々が飢えに苦しんでいる国があります(*3)。 同じ人類なのに、ある国の人々は食べられる食品を毎日捨てている一方で、別の国の人々は飢餓で苦しんでいる――だからフードロスは人道的な観点でも良くないと考えられます。

*3:第9回 発展途上国で食料に困っている人はどれくらいいますか? 《おしえて!知りたい!途上国と社会》(清水達也) - アジア経済研究所

だからフードロス対策をしよう

フードロスがどんなものであるかを知っていただけたら、次はフードロス対策を考えていきましょう。

一人ひとりのアクションが、世界の課題解決につながる

フードロス対策は、政府や企業だけが取り組めば良いという問題ではありません。企業などが抜本的な対策を講じていくべき一方で、個々人が小さなアクションを積み重ねていく必要があります。
いずれの場合でも、フードロス対策で求められているのはアクション、行動です。

フードロスは世界の課題である、と考えるとアクションを起こそうと思えるのではないでしょうか。

2019年に大阪でG20大阪サミットが開かれ、そこで「食料の損失・廃棄の削減を含め、流通を効率的に行う必要がある」と宣言されました。
食料の損失・廃棄の削減こそ、フードロス対策です。
G20とは、アルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、カナダ、中国、フランス、ドイツ、インド、インドネシア、イタリア、日本、メキシコ、韓国、南アフリカ共和国、ロシア、サウジアラビア、トルコ、英国、米国、EUのことです。

また同年のG20農業大臣宣言(新潟県で開催)では「食料の損失・廃棄を削減するような持続可能な食品供給網が発展することは、食料安全保障に向けた闘い、天然資源の有効活用、温室効果ガスの排出削減への貢献につながる」とまで述べられています。
フードロス対策(食料の損失・廃棄を削減すること)が、安全保障問題や資源問題、温室効果ガス問題の解決につながるというわけです。

身近に自分でできることでいえば、買ってきた食品を使い切る・食べきることを心がければそれはフードロス対策になります。買い物に行く前に冷蔵庫やストックの中身を確認して、必要な買い物リストをつくるというのも立派なフードロス対策です。どちらのアクションも小さな一歩ですが、小さなアクションだからこそ取り入れてみてはいかがでしょうか。

Pascoのフードロス対策

Pascoのフードロス対策

Pascoのフードロス対策を紹介します。
Pascoは、「食生活を豊かにすること」と「地球環境を保全すること」が矛盾せずにともに満たされたとき、「パンづくりで社会に貢献する」という創業精神につながると考えています。

ただパンづくりの工程では、どうしてもパンくずが出てしまいます。パンくずは厳密には「食べられるモノ」ですが、やはり捨てるしかありません。
そこでPascoは、パン工場で出てくる、パンくずを含む食品廃棄物の98%以上を家畜の飼料にしています。動物に食べてもらうことで、食べられるモノを捨てることを回避しています。

また環境対策の一環として、一部の商品の包装材に、バイオマス包材を使っています。
バイオマス包材は植物由来の原料でつくられていて、環境にやさしい素材です。

まとめ~地道に確実に進めていきましょう

まとめ~地道に確実に進めていきましょう

フードロスの問題は長らく「仕方のないこと」と受け止められていたのではないでしょうか。たくさん売れるだろうと思ってたくさんつくって余ってしまったら、それは捨てるしかありませんし、おいしくないものを買ってしまったあとにおいしいものを買ったらおいしくないものは捨てたくなります。
人間が生み出したフードロスは、人間が解決できるはずです。
フードロス対策は、「もったいない」の気持ちをもって、地道でも確実に進めていきましょう。